阿佐谷英語塾塾長のメッセージ

傾向と対策の重要性+社会科目の細分化


(1.20.2012)

2012年度のセンター試験も無事終了し,と言いたいところですが,社会科目の問題配布漏れで,大量の再受験者が出たようです。事務処理上の不手際に対する批判はすでになされていますが,後で別の視点からこの問題を取り上げます。
センター試験全体としては,国語の易化により平均点が少し上昇したことが特徴のようです。英語は細部を別とすればほぼ昨年同様の問題構成でしたが,第四問が少し難化したために,もともとこの種の問題が苦手だった生徒には不利に働いたようです。しかし第二問Aに難問の類がなく,またBの整序作文の空所の数が5に戻ったこともあり----リスニングも含めて----平均点はほぼ昨年度並のようです。ただし,学力上位層の高得点が平均点を引き上げている面があるように思います。阿佐谷英語塾にも筆記満点,リスニング48点で惜しくも250点のパーフェクト・ゲームを逃した生徒がいます。センター試験と国公立の二次・私大入試とでは雰囲気も難易度も違いますから,センターの出来不出来に関わらず,残された時間をいかに有効に使うかが何よりも大切です。

表題の「傾向と対策」についてですが,受ける大学・学部の問題構成,難易度,時間配分を把握して試験に臨むことは必須の要件です。余程の力がない限り,これを怠ると思いがけない不覚をとります。前回(1.9) 配点の低い問題に時間をかけ過ぎないことが肝要と書きましたが,それと同時に,時間が足りない人は,苦手な問題は後回しして取れる問題で確実に得点していくやり方も必要です。もっと言えば,場合によっては一部の問題を捨てることも必要です。要は,総合点で合格ラインに達すればよいのです。

「社会科目の細分化」について。かつては,と言ってもかなり前になりますが,社会科社会(それ以前は,一般社会)という政治・経済,倫理・社会と現代社会を総合したような科目がありました。当時から選択する受験生はあまり多くなく,その後,地歴に対する公民という括り方をされて,細分化されました。
つまり,政治・経済と倫理・社会(そして現代社会)を本格的に学習する生徒はいなくなり,国立二次・私大を含めて,公民で受験出来る大学・学部は例外となり,実質的にセンター試験用の科目となりました。そのセンター試験で今年度また妙に複雑な科目分けになり,問題配布漏れが生じたわけです。日本史,世界史,地理はそれぞれ必要な科目であることは否定しませんが,「社会科社会」,その後の「公民」という名前が示すとおり,政経・倫社こそ社会科教育の根幹に据えるべき科目ではないでしょうか。これがいわばままこ扱いされているために,現在の大学受験生・在学生・卒業生の,社会を成り立たせている基本的な枠組みと思想,そしてその歴史に対する知識の不足や欠落を招いているわけです。特に倫社を敬遠する傾向が強いようです。こうしたことが一因となり,政治家,役人,企業経営者,研究者,ジャーナリストの倫理的思想の欠如と経済問題に対する社会全体の無知を生じ,その結果,失われた20年と言われる日本経済社会の惨状を招いて,多くの若者から未来への希望を奪っているのではないでしょうか。それでもまだ懲りずにさらに破滅に向かって突き進もうとしているのです...。

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